阪急のゆく道〜宝塚線編

今回のロビーコンサートは、阪急電車と音楽をテーマにしたリレーコンサートイベント「阪急宝塚線ミュージック駅伝MOT!」の一環として行われる公演で、「阪急の行く道」と題し、阪急宝塚線各駅や沿線各所にちなんだ楽曲で宝塚線を辿るようなものにしました。楽曲はブルースや唱歌、ポップスなどをジャズアレンジで、ジャズが持つ幅広い魅力を提示しようと考えました。 この企画が出来るまでには数多くの時間を費やしました。当初はDJを取り入れた企画にしようと考えていましたが、阪急電車に絡めたDJをできるプレイヤーを見つけることができず、またDJに意識が引っ張られ過ぎて阪急電車に関連しない普通のDJイベントになってしまいそうにもなりました。

その後も電車が走る映像を映し出すような演出を試してみたり、ゲストの視点を変えて、落語家の方に阪急に関連した漫談をしてもらえないか出演依頼をしてみたり、ラジオDJの方に鉄道について語ってもらいながら阪急沿線の関連曲を聴いて行くのはどうかと提案したり、電車の発射音や通過音(いわゆる「鉄メロ」)の作曲者を呼んで音楽と鉄道について話しながら演奏をする企画を考えてみたりと、試行錯誤が繰り返されました。しかし、これらの案は実現性や趣向性の面から実行を断念することになりました。         
悩み抜いた末に出た案は「阪急宝塚線に関連する曲をジャズアレンジして演奏するコンサート」でした。DJを取り入れたかった自分達からすると、(大阪音楽大学の範疇である)ジャズを企画にすることは「逃げ」であるとも思いましたが、考えを進めるうちに自分達も納得のいく企画ができあがりました。
コンサートは演奏者の皆様の柔軟な対応と演奏力で大成功でした。「ジャズを初めて聴いたが感動した。こんなにいいものならまた聴きにいきたい。」豊中、庄内に長年お住いの方からは「昔の庄内の風景が蘇りました。」など、嬉しいお声も多くいただきました。
         
しかし、運営の面では反省点も多くありました。リーダーとして、今後グループで何かをするときに特に意識しようと思ったのは、「作業の細分化と、それに対する期限の設定」です。一つの作業を大きな枠で捉えるだけでなく、さらにその作業を細分化し、メンバーの動きを予想することで、それに対する正確な期限設定を設定でき、無駄な作業が後から生まれることが阻止できると考えています。さらにそれをメンバー同士で共有することにより、どの部署のどの作業がどれくらい進行しているかを正確に知ることができます。人間の感覚は、人それぞれかなりイメージにズレがあり(人によって、だいたいできたの「だいたい」のイメージは違うということ)、それを修正するために全員が同じ感覚で進行を把握できるシステムが必要だと感じました。

(2019年12月4日 豊中市立文化芸術センター多目的室)
文:ミュージックコミュニケーション専攻 2年 佐藤由大