月がきれいですね。

2019年はアポロ11号の月面着陸から50周年であり、美術館などでは月・宇宙をテーマとしたイベントが多く行われていました。しかしそれらをテーマとする音楽イベントは少なかったため、「月」をテーマとしたコンサートを行うことにしました。
また、昨今は夜空が高層ビルに囲まれ、わずかな灯りしか持たない月が人々に注目される機会が少ないのではないかと思い、月を再び見ようというコンセプトを付け加えました。

企画立案者の「歌とピアノの演奏会にしたい」という思いから、ピアノ伴奏での声楽曲とピアノソロ曲のコンサートにすることにしました。
ピアノソロ曲、声楽曲いずれも曲のタイトルに「月」が記載されてある曲目の中から選択し、プログラムを組むことにしました。ピアノと声楽の曲を1時間弱聴くのは眠くなったり、退屈だと感じる人が現れるのではと考え、演奏曲目は誰もが知っているであろう有名な曲を数個含めることにしました。出演者であるピアノ専攻の方々との打ち合わせは、我々ではで思いつかないものを与えてくれる貴重な時間で、ドビュッシーの声楽曲《月の光》、ドヴォルザークのオペラ《ルサルカ》より〈月に寄せる歌〉を曲目に加えることになりました。
         
更に、音楽大学に所属している上で現代音楽を2つほど混じえようと思い至り、ナクソスに入っている現代音楽を一通り聴いた中から、パルムグレン作《月の光》とタン・ドゥン作《欠けた月》をプログラムに入れました。タン・ドゥンの曲は、月の歴史を調べていくうち、これまでは太陰暦が(月の満ち欠けに基づき1ヶ月を定める暦)世界最古の中国文明などに使用されていたこと・夜を照らす重要な灯りと思われていたことなどを知り最適だと考えました。
           
コンサート当日は、(本専攻のロビーコンサートでは)過去例にない時間が経つにつれ月が満ち欠けするという映像演出を行いました。その演出も好評で、新しいことにチャレンジするという活気溢れる演奏会となったと思います。

(2019年12月4日 豊中市立文化芸術センター多目的室)
文:ミュージックコミュニケーション専攻 2年 金城陸