高杉晋作と三味線の世界ー音とコトバのあそびー

【企画概要】
明治維新から150年が経過した2019年、維新の立役者である高杉晋作の人柄や考え方を、彼の愛した三味線演奏で紐解くコンサートを企画しました。堅苦しくならない為に、「三味線の特徴」「高杉晋作と都々逸」「高杉晋作の世界の再現/追体験」という3つの柱を立て、サラリーマンを始め、三味線や歴史が好きな人、高齢者に来場してもらえるような内容作りに努めました。混沌とした幕末を果敢に生きた高杉晋作の知恵を借り、めまぐるしく変わる現代を生きて行く材料にして欲しい、また三味線の音色に癒されて帰って欲しい。それがメインターゲットをサラリーマンにした理由であり、この企画に込めたメッセージです。
           

【見どころ・こだわった点】
「高杉晋作」という単体でも癖の強い歴史的人物に「三味線演奏」を盛り込んだ所です。高杉晋作は行動や思想がかなり奇抜で面白い人物である事、三味線は現代でいうピアノ感覚で嗜む程カジュアルな楽器であった事を知り、そこから「世の中怖いものなしだと言わんばかりの大胆な彼も、歴史に名を残すようなことを成し遂げるには不安だってあったはず。そんな心を三味線音楽で癒していたのではないだろうか。」と双方の関係性を考えました。
その世界観の中から何か少しでも魅力を感じてもらえれば良いなと思い、高杉が好んだ都々逸や座敷音楽の三味線曲をピックアップし、途中に高杉の名言を入れ、プログラムを構成しました。
          

【難しかった点】
「皆で企画をブラッシュアップしていく」という前に「企画に関わる人たちとコミュニケーションを取る」という基本的な所に終始つまづいていたように思います。私は日頃から、内輪の人に自分の企画の良さが伝わっていないと、観客の方々にはますます伝わらないと考えています。そう頭では分かっていても、なかなか上手くいかない期間を過ごし、自分が目指すもの・満足のいくものに仕上げる為には、周囲の人との連携・協力が必要なのだという事に改めて気付かされました。私自身初めてのことばかりで周りを見る余裕がなく、後になって「もっとこうできたのでは」と気付いたりして、その結果、恐らくこの企画趣旨はまとまりがなく内輪の人には殆ど伝わっていなかったのではと感じています。すぐには解決しない問題ではありますが、「他人と密にコミュニケーションを取っていく」ことの難しさと大切さを考えさせられた良い機会でした。自分の実力不足で沢山の人に迷惑をかけましたが、とても良い経験となりました。
          

(2019年2月13日 豊中市立文化芸術センター 大ホールロビー)
文:ミュージックコミュニケーション専攻2年 山上あゆみ